一時預かり事業とは
文部科学省とこども家庭庁の「一時預かり事業実施要綱」では、家庭で保育を受けることが一時的に難しくなった場合や、保護者の心理的・身体的な負担を軽くするために支援が必要な場合に、乳幼児を主に昼間、保育所、幼稚園、認定こども園などで一時的に預かり、必要な保護を行う事業とされています。
実施主体は市町村(特別区を含む)で、市町村が認めた事業者に委託することもできます。こども家庭庁の資料によると、令和5年度の実施か所数は10,908か所、延べ利用児童数は3,855,873人です。
どんなときに使えるのか
実施要綱の目的には、保育所などを利用していない家庭でも、日常生活上の突発的な事情や社会参加などで一時的に家庭での保育が難しくなる場合があること、育児疲れによる保護者の負担を軽くする支援が必要とされていることが書かれています。
つまり、仕事の都合だけが理由ではありません。利用できる理由や条件の具体的な決め方は市区町村や施設によって違うため、利用案内で確認してください。
- 通院や入院、健診など、保護者の用事があるとき
- 冠婚葬祭や、上の子の学校行事があるとき
- 就職活動や、短時間・不定期の仕事があるとき
- 育児に疲れて、少し休む時間がほしいとき
「保育園に通っていない子」が主な対象
保育所などで行う一般型の主な対象は、保育所、幼稚園、認定こども園などに通っていない、または在籍していない乳幼児です。すでに保育園に通っている子の延長保育などとは、別のしくみです。
何か月から預けられるか、何歳まで利用できるかは施設ごとに決まっています。
一時預かりの種類
一時預かり事業には、実施する場所や対象によっていくつかの種類(類型)があります。市区町村の案内では類型名が書かれていないこともありますが、知っておくと自分が使えるものを見分けやすくなります。
| 種類 | 主な実施場所 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 一般型 | 保育所、幼稚園、認定こども園、地域子育て支援拠点、駅周辺など | 保育所などに通っていない、在籍していない乳幼児 |
| 余裕活用型 | 利用児童数が定員に満たない保育所、認定こども園、小規模保育事業所など | 一般型と同じ |
| 幼稚園型Ⅰ | 幼稚園、認定こども園 | 在籍する満3歳以上の幼児で、教育時間の前後や長期休業日などに預かりが必要な子 |
| 幼稚園型Ⅱ | 幼稚園 | 保育の必要があると市町村に認定された0~2歳児(定期的な預かり) |
| 居宅訪問型 | 子どもの自宅 | 障害や病気などで集団保育が著しく難しい場合、ひとり親家庭などで保護者が一時的に夜間・深夜に働く場合、離島などで保護者が一時的に働く場合 |
| 地域密着Ⅱ型 | 地域子育て支援拠点、駅周辺など | 保育所などに通っていない、在籍していない乳幼児 |
このほか、災害のときに実施される類型もあります。どの種類をどこで実施しているかは市区町村によって異なります。
在宅で子育てしている家庭が探すとき
保育園や幼稚園に通っていない0~2歳の子を預けたい場合、主に候補になるのは一般型、余裕活用型、地域密着Ⅱ型です。市区町村の一覧に保育所や認定こども園、子育て支援拠点などが並んでいたら、それぞれの対象年齢と利用できる曜日・時間を見比べましょう。
余裕活用型は定員の空きを使うため、時期によって受け入れの状況が変わることがあります。
居宅訪問型は条件がある
居宅訪問型は、利用にあたって市町村と協議のうえ利用を決めることとされており、ほかの類型を実施できない場合に行うものと位置づけられています。対象になりそうな場合は、市区町村の窓口に相談してください。
ほかの預け先との違い
子どもを預けるしくみは一時預かりだけではありません。目的や時間、場所によって向いているものが変わるため、違いを知っておきましょう。下の表は、公的資料で確認できる範囲でまとめたものです。
| 項目 | 一時預かり事業 | こども誰でも通園制度 | ファミリー・サポート・センター | ベビーシッター |
|---|---|---|---|---|
| 実施・提供 | 市町村(委託もある) | 市町村 | 市町村(委託もある)。会員どうしの助け合い | ベビーシッター事業者、または個人 |
| 主な場所 | 保育所、幼稚園、認定こども園など | 市町村で確認 | 会員の自宅、児童館、地域子育て支援拠点など | 子どもの自宅など |
| 主な対象 | 保育所などに通っていない乳幼児(一般型) | 保育所、認定こども園、幼稚園などに通っていない0歳6か月から満3歳未満の子 | 乳幼児や小学生などの子どもがいる会員 | 事業者や個人との契約による |
| 使い方の特徴 | 施設ごとに登録や予約 | 月10時間の範囲で時間単位で利用(市町村が定める方法で申請) | 事前に会員登録し、提供会員と顔合わせ | 事業者に申し込むか、マッチングサイトで個人に依頼 |
こども誰でも通園制度は、就労の要件を問わず時間単位などで柔軟に利用できる通園の給付で、2026年度から全国の自治体で実施されています。一時預かりとは別の制度なので、両方の案内を見比べてみてください。
あわせて読みたいファミリー・サポート・センターとは|頼めること・料金・登録から利用までの流れベビーシッターを使うときに確かめたいこと
こども家庭庁の資料では、1日に1人以上の乳幼児を保育するベビーシッターや事業者は、原則として都道府県(指定都市・中核市)への届出が必要とされています(臨時の場合などを除く)。
こども家庭庁の「ベビーシッターなどを利用するときの留意点」では、料金の安さや手軽さではなく、信頼できるかという視点で情報を集めることを呼びかけ、次の10か条をまとめています。
- まずは情報収集を
- 事前に面接を
- 事業者名、氏名、住所、連絡先の確認を
- 保育の場所の確認を
- 資格や研修受講状況の確認を
- 保険の確認を
- 預けている間もチェックを
- 緊急時における対応を
- 子どもの様子の確認を
- 不満や疑問は率直に
同じ資料では、一時預かりが必要な場合やひとり親への支援が必要な場合は、ベビーシッターの利用に限らず市町村に相談することも勧めています。
一時預かりの探し方
一時預かりを行う施設は、市区町村のホームページの子育てや保育のページに、一覧で載っていることがあります。見つからないときや、どれが使えるか分からないときは、市区町村の子育て窓口に聞くのが近道です。
- 「お住まいの市区町村名 一時預かり」で検索し、市区町村の公式ページを開く
- 一覧から、自宅や駅から通いやすい施設を2~3か所選ぶ
- 対象年齢、利用できる曜日と時間、料金、定員、登録の要否を見比べる
- 分からない点は施設や市区町村の窓口に電話で確認する
- 必要なら事前登録や面談、見学を済ませておく
地域子育て支援拠点でも聞ける
地域子育て支援拠点(呼び名は地域によってさまざま)の中には、一時預かり事業を同じ場所や近くで行っているところもあります。普段から拠点を利用していると、地域の預け先の情報を得やすくなります。
あわせて読みたい地域子育て支援拠点とは|子育て仲間とつながる場所の探し方とはじめて行くときのコツ問い合わせで確認したいこと
- 何か月から、何歳まで預けられるか
- 利用できる曜日と時間、1回あたりの上限
- 料金と、給食・おやつ代などの実費
- 事前登録や面談、見学が必要か
- 予約の受付開始日と方法、キャンセルの決まり
- 持ち物と、名前を書く必要があるもの
- アレルギーや持病がある場合の対応
- 当日、体調が悪いときの連絡方法
料金と、負担を軽くするしくみ
実施要綱では、事業に必要な経費の一部を保護者の負担とすることができるとされています。そのため、1時間あたりや1日あたりの料金は、市区町村や施設によって異なります。居宅訪問型では、自宅までの交通費を実費で求められることがあります。
具体的な金額は、市区町村や施設の利用案内で確認してください。
所得の低い世帯などへの負担軽減
実施要綱では、生活保護を受けている世帯、市町村民税が課されない世帯、市町村民税の所得割額が一定額未満の世帯、市町村が特に支援が必要と認めた世帯などについて、利用者負担の一部を補助するしくみが定められています。対象になるのは一般型、余裕活用型、居宅訪問型、地域密着Ⅱ型です。
減額や免除があるか、どのような手続きが必要かは市区町村によって違うため、利用の前に窓口で確認してください。
里帰り出産のとき
実施要綱では、出産や介護などで一時的に里帰りする場合、里帰り先の市町村が適当と判断すれば、住所地の保育所などに在籍している子どもも、里帰り先で一時預かりの対象にしてよいとされています。里帰り先の市区町村に早めに問い合わせてみましょう。
予約から当日までの準備
はじめての場所に預けるのは、子どもにとっても保護者にとっても緊張するものです。準備を少しずつ進めておくと、当日の不安を減らせます。
前日までに用意すること
- 施設から指定された持ち物(着替え、おむつ、おしりふき、食事用のエプロンなど)
- 持ち物への名前の記入
- 母子健康手帳や保険証など、施設から求められた書類の写し
- 生活リズム、食事の量や形、アレルギー、寝かしつけの方法をまとめたメモ
- 当日つながる電話番号と、つながらないときの予備の連絡先
預けるときの伝え方の例
受け渡しの時間は短いことが多いので、伝えたいことを先に整理しておきましょう。
「今朝は7時に起きて、8時にごはんを食べました。いつもは11時ごろに眠くなります。」
「食物アレルギーはありません。お茶は水筒に入れてあります。」
「お迎えは14時です。何かあれば、この番号にお電話ください。」
慣れるまでの工夫
はじめは短い時間から利用するかどうか、施設のスタッフに相談してみるのもひとつの方法です。別れ際に泣いてしまうことがあっても、様子をスタッフと共有しながら、子どものペースで慣れていきましょう。
子どもの体調がいつもと違うときは、無理に預けず施設に連絡しましょう。急な症状で迷ったときは #8000、緊急のときは119番へ。
頼れる先を複数もっておく
一時預かりは予約が埋まっていたり、子どもの体調で使えなかったりすることもあります。一時預かり、ファミリー・サポート・センター、家族やパートナーとの分担など、いくつかの選択肢を普段から持っておくと、いざというときに慌てずに済みます。
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あわせて読みたい子育てで頼れる人がいないとき|困りごと別の公的な相談先と支援の使い方 あわせて読みたいパートナーや家族に育児を頼むとき|伝わる頼み方と分担表の作り方よくある質問
保育園に通っていなくても一時預かりは使えますか?
使えます。一般型の一時預かりは、主に保育所、幼稚園、認定こども園などに通っていない、または在籍していない乳幼児を対象としています。対象年齢や利用条件は施設ごとに違うため、利用案内で確認してください。
仕事以外の理由、たとえばリフレッシュでも預けられますか?
実施要綱では、保護者の心理的・身体的な負担を軽くするために支援が必要な場合も対象として書かれています。ただし、利用できる理由の決め方は市区町村や施設によって違うため、問い合わせのときに確認しましょう。
一時預かりの料金はいくらですか?
料金は市区町村や施設によって異なります。所得の低い世帯などを対象に利用者負担を軽くするしくみもあるため、金額と減免の有無は市区町村の案内で確認してください。
何か月から預けられますか?
受け入れる月齢は施設ごとに決まっています。検討している施設の利用案内を見るか、電話で確認してください。
一時預かりとこども誰でも通園制度はどう違いますか?
こども誰でも通園制度は、保育所などに通っていない0歳6か月から満3歳未満の子が、月10時間の範囲で時間単位で利用できる通園の給付で、2026年度から全国の自治体で実施されています。一時預かりとは別の制度なので、利用の方法は市区町村の案内で確認してください。
予約が取れないときはどうすればいいですか?
近隣のほかの施設や、ファミリー・サポート・センターなども検討してみてください。どこに頼めばよいか分からないときは、市区町村の子育て窓口に相談すると、地域で使える選択肢を案内してもらえることがあります。
まとめ
- 一時預かりは、家庭での保育が一時的に難しいときや、保護者の負担を軽くしたいときに乳幼児を預かる市区町村の事業
- 一般型、余裕活用型、幼稚園型、居宅訪問型、地域密着Ⅱ型など種類があり、対象や場所が違う
- 料金や利用条件は市区町村や施設ごとに異なり、所得の低い世帯などの負担を軽くするしくみもある
- こども誰でも通園制度、ファミサポ、ベビーシッターとの違いを知り、目的に合った預け先を選ぶ
- 必要になる前に、一覧の確認、登録、見学、持ち物の準備を済ませておく


