「頼れる人がいない」と感じたときに、まず知ってほしいこと
頼れる人がいないと感じると、「相談するほどのことではない」「もっと大変な人がいる」と、自分の困りごとを小さく見積もってしまいがちです。けれど、公的な相談窓口は、はっきりした問題が起きてからだけでなく、不安や疲れを感じた段階から使えるものです。
また、相談することで何かを強制されるわけではありません。話を聞いてもらい、使えそうな支援を一緒に探してもらう、というところから始められます。
相談を考えてよいサイン
次のような状態が続いているときは、ひとりで抱えずに相談してみましょう。どれか一つでも、相談のきっかけとして十分です。
- 子どもと二人きりの時間が長く、大人と話す機会がほとんどない
- 眠れない、食べられないなど、体の疲れが抜けない日が続いている
- 気持ちが沈む、涙が出る、いらいらが止まらないことが多い
- 子育てのことで、誰にも聞けない疑問や不安がある
- 自分が体調を崩したときに、子どもを見てくれる人がいない
体や心の不調は、自分で判断しすぎない
出産後や子育て中の体や心の不調には、さまざまな原因があります。「気持ちの問題だから」「病気かもしれない」と自分で決めつけず、市区町村の窓口や、かかりつけの医師、出産した医療機関などに相談してください。
最初の相談先:市区町村のこども家庭センターなど
どこに相談すればいいか分からないときは、まずお住まいの市区町村の子育ての窓口に連絡しましょう。こども家庭庁は、市区町村の母子保健の機能と児童福祉の機能を一体にして、妊産婦や子育て家庭、こどもからの相談に応じ、切れ目なく支援する「こども家庭センター」の設置を進めています。
こども家庭センターでは、相談への対応のほか、家庭の状況に応じて「サポートプラン」を作り、必要な子育て支援サービスや関係機関につなぐ役割も担うとされています。
窓口の探し方
名称や場所は自治体によって異なり、保健センターや子育て支援課などが窓口になっていることもあります。次の方法で探してみましょう。
- 「お住まいの市区町村名 こども家庭センター」または「子育て 相談」で検索する
- 母子健康手帳と一緒にもらった案内や、市区町村の広報を確認する
- 分からなければ、役所の代表番号に電話して「子育ての相談をしたい」と伝える
相談するときの伝え方
うまく説明しようとしなくて大丈夫です。いまの状況と、困っていることを一つか二つ伝えれば、窓口の人が質問しながら整理してくれます。
「生後4か月の子を育てています。実家が遠く、夫も帰りが遅くて、日中ずっとひとりです。疲れがたまっていて、使える支援があれば知りたいです」
「来月から上の子の通院が増えるのですが、そのあいだ下の子を見てくれる人がいません。どんな方法があるか相談したいです」
「何を相談したらいいのか自分でも分からないのですが、子育てがつらくて、話を聞いてもらえますか」
困りごと別:公的な相談先と支援の早見表
相談先は、困りごとの種類によっていくつかに分かれます。どれを使えばいいか迷ったら、まずは市区町村の窓口に相談すれば、適した先を案内してもらえます。
| 困りごと | 相談先・支援 | どんなところか | 確認したいこと |
|---|---|---|---|
| 何から相談すればいいか分からない | 市区町村のこども家庭センターなど | 妊産婦・子育て家庭・こどもからの相談に応じ、支援につなぐ | 名称と窓口の場所、受付時間 |
| 出産後の体の回復や授乳、育児の不安 | 産後ケア事業(市町村) | 出産後1年以内の母子に、心身のケアや育児のサポートを行う | 対象、種類、申し込み方法、利用料 |
| 日中、親子で過ごす場所や話し相手がほしい | 地域子育て支援拠点(子育てひろばなど) | 親子が気軽に集い、交流や子育ての相談ができる場 | 場所、開いている曜日と時間 |
| 用事や体調不良のときに、子どもを見てほしい | ファミリー・サポート・センター、一時預かり | 会員同士の助け合いや、保育所などでの一時的な預かり | 事前登録、料金、利用できる内容 |
| 気持ちがつらい、誰かに話を聞いてほしい | こころの健康相談統一ダイヤル、よりそいホットライン、親子のための相談LINE | 電話やLINEで悩みを相談できる | 受付時間(地域によって違うものがある) |
| 子育てがつらく、追いつめられている | 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」 | 近くの児童相談所につながり、子どもの福祉に関する相談も受け付ける | 通話料は無料、匿名での相談もできる |
| 休日や夜間の子どもの急な体調 | 子ども医療電話相談(#8000) | 受診するか迷うときなどに電話で相談できる | お住まいの都道府県の実施時間 |
一つの窓口で解決しなくても、それで終わりではありません。「ほかに相談できるところはありますか」と聞くと、別の支援を教えてもらえることもあります。
出産後の体や心がつらいとき
出産後は、体の回復と、昼夜を問わない授乳や寝かしつけが重なり、心身ともに負担が大きくなりやすい時期です。頼れる家族が近くにいない場合は、とくに公的な支援を早めに知っておきましょう。
産後ケア事業
産後ケア事業は、市町村が、出産後1年以内の母子を対象に、産後も安心して子育てができるよう、心身のケアや育児のサポートなどを行う事業です。母子保健法に位置づけられています。
こども家庭庁のガイドラインでは、施設に泊まる短期入所(ショートステイ)型、日中に通う通所(デイサービス)型、自宅に来てもらう居宅訪問(アウトリーチ)型の3種類の実施方法が示されています。どの型を行っているか、対象になる条件、申し込みの方法、利用料は市町村によって異なるため、お住まいの市町村の案内で確認してください。
気持ちがつらいときの電話・LINE相談
誰かに話を聞いてほしいとき、夜中に不安になったときに使える相談窓口もあります。受付時間や対象は窓口によって違うので、落ち着いているときに確認しておきましょう。
- こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556):電話をかけた所在地の都道府県・政令指定都市が行う公的な相談機関につながります。相談できる曜日や時間は都道府県によって異なります(厚生労働省)
- よりそいホットライン(0120-279-338):24時間、通話料無料で相談できる電話窓口として、厚生労働省のサイトで紹介されています
- 親子のための相談LINE:18歳未満の子どもとその保護者が、子育てや親子関係の悩みを相談できます。匿名でも相談でき、受付時間は都道府県によって異なります(こども家庭庁)
気持ちの落ち込みが続くとき、眠れない・食べられない状態が続くときは、自分で判断しすぎず、市区町村の窓口や医療機関に相談してください。命に危険を感じるほどつらいときは、ためらわずに119番に連絡してください。
子育てがつらく、追いつめられていると感じたとき
泣きやまない、言うことを聞かない、眠れない日が続く。そんな中で、子どもに強い言葉をぶつけてしまったり、手をあげてしまいそうになったりして、自分を責めている人もいるかもしれません。そう感じていること自体が、誰かの手が必要なサインです。
こども家庭庁が運営する児童相談所虐待対応ダイヤル「189」は、虐待かもしれないと思ったときに、近くの児童相談所に通告・相談ができる全国共通の番号です。通話料は無料で、匿名で相談することもでき、相談した人や内容の秘密は守られます。こども家庭庁のページでは、児童相談所は子どもの福祉に関するさまざまな相談を受け付けているとされています。
子どもや自分の命に危険があると感じるときは、迷わず110番や119番に連絡してください。
いまできること
感情が高ぶってどうしようもないときは、子どもを安全な場所(ベビーベッドなど)に寝かせてから、少しその場を離れて深呼吸する、窓を開けるなど、自分が落ち着くための時間をとることも考えてみてください。そのうえで、次の相談先に連絡しましょう。
- 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」
- 市区町村のこども家庭センターなどの子育て窓口
- 親子のための相談LINE
子どもの急な体調と、緊急のとき
頼れる大人がそばにいないと、子どもの体調が急に変わったときに、ひとりで判断しなければならない不安があります。連絡先を決めておくだけでも、いざというときの迷いは減らせます。
受診するか迷うときは #8000
休日や夜間に子どもの体調が急に変わり、すぐに受診すべきか迷うときは、子ども医療電話相談(#8000)があります。実施時間は都道府県によって異なるため、厚生労働省のページでお住まいの都道府県の時間を確認しておきましょう。
かかりつけの小児科の診療時間や、休日・夜間に診てもらえる医療機関の探し方も、あわせて確認しておくと安心です。
緊急性が高いと感じるときは119番
意識がない、呼吸が苦しそう、けいれんが止まらないなど、緊急性が高いと感じるときは、迷わず119番に連絡してください。判断に迷ったときも、ひとりで抱え込まず、電話で相談することを優先しましょう。
親が体調を崩したときに備える
親自身が急に体調を崩したとき、子どもをどうするかも考えておきたいことです。一時預かりやファミリー・サポート・センターは事前の登録が必要なことが多いため、元気なうちに窓口に問い合わせておくと、いざというときに間に合いやすくなります。
あわせて読みたい一時預かりとは|対象・種類・料金と、保育園に通っていない子の預け先の探し方人の手を借りる仕組みと、「頼る先リスト」の作り方
相談だけでなく、実際に人の手を借りたり、ほかの親子とつながったりできる仕組みもあります。
ファミリー・サポート・センターは、子育ての援助を受けたい人と行いたい人が会員として登録し、地域で助け合う仕組みで、市区町村が実施しています。利用できる内容や料金、登録の方法は自治体ごとに違うため、お住まいの地域の案内で確認してください。
地域子育て支援拠点は、子育て中の親子が気軽に集い、交流したり、子育ての不安や悩みを相談したりできる場所です。こども家庭庁の資料では、子育て親子の交流の場の提供、子育てに関する相談や援助、地域の子育て関連情報の提供、講習などが基本の事業とされ、令和5年度には全国8,016か所で実施されています。「子育てひろば」「子育て支援センター」などの名前で呼ばれていることもあります。
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困ったときに探し始めると、調べるだけで疲れてしまいます。落ち着いているときに、次の連絡先を一枚の紙やスマートフォンのメモにまとめ、冷蔵庫など目につく場所に置いておきましょう。
- 市区町村の子育て相談の窓口(こども家庭センターなど)と電話番号、受付時間
- かかりつけの小児科と診療時間、休日・夜間の受診先
- お住まいの都道府県の #8000 の実施時間
- 近くの地域子育て支援拠点(子育てひろば)の場所と開いている時間
- ファミリー・サポート・センターや一時預かりの窓口と、登録の状況
- 気持ちがつらいときの電話・LINE相談の連絡先
- 家族・知人で、連絡できる人
地域の人とつながる選択肢
だっこのわは、抱っこや育児を手伝ってほしい親と、手伝いたい地域の人をつなぐアプリとして、親がその場にいる短時間のお手伝いを中心に準備しています。いまは公開準備中で、実際の依頼にはまだ使えません。
だっこのわは、この記事で紹介した公的な相談窓口や支援の代わりになるものではありません。困りごとの相談や、体や心の不調、子どもの体調や安全に関わることは、公的な窓口や医療機関に相談してください。
よくある質問
子育てのことを役所に相談すると、何か記録されたり、問題のある家庭だと思われたりしませんか?
市区町村の子育ての窓口は、特別な問題がある家庭だけのためのものではなく、妊産婦や子育て中の家庭の相談に広く応じる場所です。相談の内容がどう扱われるか気になる場合は、相談の最初に窓口で確認してみてください。
平日の昼間は電話できません。ほかに相談できる方法はありますか?
親子のための相談LINEは、子育てや親子関係の悩みをLINEで相談できる窓口です。受付時間は都道府県によって異なり、毎日対応している地域もあります。よりそいホットラインは24時間の電話窓口として厚生労働省のサイトで紹介されています。市区町村の窓口の受付方法は、各自治体の案内で確認してください。
産後ケア事業は誰でも使えますか?
産後ケア事業は、市町村が出産後1年以内の母子を対象に行う事業です。どの種類を行っているか、対象になる条件、申し込み方法、利用料は市町村によって異なります。利用したいときは、お住まいの市町村の母子保健の窓口やこども家庭センターに問い合わせてください。
189は、虐待の通報のためだけの番号ですか?
189は、虐待かもしれないと思ったときに近くの児童相談所に通告・相談ができる番号ですが、こども家庭庁のページでは、児童相談所は子どもの福祉に関するさまざまな相談を受け付けているとされています。子育てがつらく、自分が追いつめられていると感じるときにも相談できます。通話料は無料で、匿名でも相談できます。
夜中に子どもの様子がおかしいとき、どこに連絡すればいいですか?
受診すべきか迷うときは、子ども医療電話相談(#8000)に相談できます。実施時間は都道府県によって異なるため、事前に確認しておきましょう。意識がない、呼吸が苦しそうなど緊急性が高いと感じるときは、迷わず119番に連絡してください。
近くに頼れる人がいなくても、子どもを少し見てもらう方法はありますか?
市区町村が実施するファミリー・サポート・センターや、保育所などで行う一時預かりがあります。どちらも事前の登録や予約が必要なことが多く、内容や料金は自治体によって異なるので、困る前に窓口で確認しておくと安心です。
まとめ
- 頼れる人がいないと感じたら、まずは市区町村のこども家庭センターなどの子育て窓口に相談する
- 出産後の体や心がつらいときは、産後ケア事業や、電話・LINEの相談窓口がある
- 追いつめられていると感じるときは189にも相談できる。命に危険を感じるときは110番・119番
- 子どもの急な体調は #8000、緊急のときは119番。実施時間などは事前に確認しておく
- 落ち着いているうちに「頼る先リスト」を作り、ファミリー・サポート・センターや子育てひろばなど人とつながる先も増やしておく


