子育ての助け合い

パートナーや家族に育児を頼むとき|伝わる頼み方と分担表の作り方

いちばん身近な家族にこそ、頼み方が難しいと感じることがあります。「見れば分かるはず」と思って言わずにいると、不満がたまり、ある日強い言葉で伝えてしまう。相手は相手で「言ってくれればやったのに」と戸惑う。そんなすれ違いは、どちらかの気持ちが足りないからではなく、作業と期待が言葉になっていないことから起こりがちです。この記事では、家族へのお願いがこじれやすい理由、作業を書き出す分担表の作り方、伝わる頼み方の言い換え、話し合いの手順、祖父母など離れて暮らす家族に頼むときの注意を順にまとめます。

制作:株式会社Akatsuki 読了 約9分 公開

家族へのお願いがこじれやすい理由

家族への頼みごとは、他人へのお願いより簡単そうに見えて、実はこじれやすいものです。理由を知っておくと、感情的になる前に「言葉にして伝える」ことを選びやすくなります。

「言わなくても分かるはず」という期待

毎日一緒に暮らしていると、「これだけ大変そうにしていれば分かるはず」と思いがちです。けれど、相手にとっては、何がどれだけ大変なのかが見えていないことも少なくありません。察してもらうのを待つより、具体的な言葉にするほうが早く、お互いの負担も少なく済みます。

名前のついていない作業が多い

育児や家事には、おむつの在庫を確認する、保育園の持ち物に名前を書く、予防接種の予定を考えるなど、名前のついていない細かな作業がたくさんあります。こうした作業は、担当している人にしか見えず、「やってくれている」と気づかれにくいものです。

「手伝う」という言葉のずれ

「手伝ってほしい」と伝えると、相手は「頼まれたことをやればいい」と受け取ることがあります。一方で頼む側は、「言われる前に気づいて、最後までやってほしい」と思っているかもしれません。このずれが、「やったのに文句を言われた」「頼まないとやってくれない」というすれ違いにつながります。

育児と家事を書き出して、分担を見える化する

話し合いの前にしておきたいのが、作業の書き出しです。紙でも、スマートフォンの共有メモや表計算でもかまいません。「誰が悪いか」を決めるためではなく、「何があるのか」を二人で同じように見るための材料です。

書き出すときは、頻度ごとに分けると漏れにくくなります。

  • 毎日の作業:授乳やミルク、食事、おむつ替え、寝かしつけ、お風呂、夜中の対応
  • 毎日の家事:食事の準備と片づけ、洗濯、ゴミをまとめる
  • 週に数回の作業:買い出し、掃除、保育園の持ち物の準備
  • ときどきの作業:予防接種や健診の予約、役所の手続き、服のサイズ替え
  • 見えにくい作業:日用品の在庫確認、家族の予定の調整、園からの連絡の確認
分担表の例(書き換えて使えます)
作業頻度いまの担当これからの担当メモ
朝の着替えと保育園の準備 平日毎日 A B 持ち物は前の晩にかごへまとめておく
お風呂 毎日 A B(平日)・A(休日) 帰りが遅い日は前日までに知らせる
夜中の対応 毎日 A 曜日で交代 翌日が早い人は休む日にする
おむつ・日用品の在庫確認と注文 週1回 A B 残りが少ないものを共有メモに書く
健診・予防接種の予約と付き添い ときどき A 予約はA、付き添いは交代 予定は共有カレンダーに入れる

表を作ると、片方に作業が集中していることや、どちらも担当していない「すき間の作業」が見えてきます。表を見せながら「この作業を代わってもらえる?」と話すと、感情ではなく中身の相談にしやすくなります。

伝わる頼み方:「何を・いつ・どこまで」

「もっと手伝って」「ちゃんと見てて」では、何をすればいいのかが伝わりにくいものです。内容、時間、終わりの状態を区切って伝えると、相手は自分の予定と合わせて考えやすくなり、引き受けたあとも迷いません。

伝わりにくい頼み方と、言い換えの例
伝わりにくい言い方言い換えの例足したこと
もっと手伝ってよ 平日のお風呂を担当してもらえる? 着替えと保湿までお願いしたい 作業の範囲と終わりの状態
ちゃんと子ども見てて 夕食を作る18時から30分、リビングで一緒に遊んでいてほしい 時間と場所
なんで気づかないの おむつが残り1袋になったら注文してほしい。共有メモに書いておくね 判断の基準と連絡の方法
たまには休ませて 土曜の午前中、2時間ひとりで出かけたい。そのあいだ子どもをお願いできる? 日時と長さ

頼むタイミングを選ぶ

疲れ切っているときや、相手が出かける直前に頼むと、どうしても言葉が強くなったり、相手も落ち着いて聞けなかったりします。急ぎでないお願いは、子どもが寝たあとや休日の落ち着いた時間など、話を聞いてもらいやすいときに伝えましょう。

そのまま使える伝え方の例

伝え方の例

「最近、夕方がいちばん大変なんだ。平日の18時から19時のあいだ、子どもと遊ぶ係をお願いできないかな」

「今週の土曜、10時から12時まで美容院に行きたいから、そのあいだ子どもをお願いしたい。お昼ごはんは用意しておくね」

「在庫の確認がけっこう負担で……。日用品の注文をまるごと担当してもらえると助かる。やり方は任せるね」

引き受けてもらったら、「ありがとう、助かる」と伝えましょう。当たり前のように思える家族の中の作業でも、お礼の言葉があると、次のお願いもしやすくなります。

パートナーと分担を話し合う手順

分担の話し合いは、一度で完璧に決めようとすると疲れてしまいます。次の手順で、小さく決めて、試して、見直すくらいの気持ちで進めましょう。

  1. それぞれが書き出した作業を見せ合い、抜けている作業を足す
  2. いま大変だと感じていることを、責める言い方を避けてお互いに話す
  3. 担当を変えたい作業を2〜3個に絞り、誰が、いつからやるかを決める
  4. 「どうなったら完了か」「困ったら誰に聞くか」を決める
  5. 2週間から1か月ほど試してから、もう一度話す日を決める

話し合いで相手が大きな声を出す、物に当たる、話し合い自体を拒み続けるなど、怖さや強い不安を感じる状況がある場合は、ひとりで抱えず、市区町村の相談窓口などに相談してください。

定期的に見直す

子どもの成長、保育園の入園、仕事の繁忙期などで、必要な作業も、使える時間も変わっていきます。月に一度など、分担を見直す日を決めておくと、不満がたまる前に調整しやすくなります。

働き方の制度も話し合いの材料にする

厚生労働省によると、「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、子の出生後8週間以内に4週間まで取得でき、2回に分けて取ることもできる休業で、通常の育児休業とは別に取得できます。申し出は原則として休業の2週間前までに、書面などで勤め先に行います。

対象になる条件や、休業中の給付の要件など、詳しい内容は厚生労働省のサイトや勤め先の担当部署で確認してください。出産前後の分担を話し合うときに、休みを取れる時期を一緒に確認しておくと、具体的な計画を立てやすくなります。

祖父母など、離れて暮らす家族や同居の家族に頼むとき

祖父母やきょうだいなど、パートナー以外の家族に頼むときは、子育てのやり方や、その時代の常識が違うことがあります。相手の気持ちを大切にしながら、お願いの範囲をはっきりさせましょう。

やり方の違いは、安全に関わるかどうかで分ける

任せたことのやり方が自分と違っても、安全に関わること以外は相手のやり方に任せてみましょう。細かく直されると、次から引き受けにくくなってしまいます。

一方で、アレルギーのある食べもの、寝かせるときの環境、車に乗せるときのチャイルドシートなど、安全のために守ってほしいことは、理由と一緒に先に伝えておきます。「かかりつけの先生に言われている」など、根拠を添えると受け入れてもらいやすくなります。

祖父母への伝え方の例

「離乳食はまだ卵を試していないから、おやつも含めて食べさせないでほしいの。それ以外は、いつもどおり見てもらえたらうれしい」

「近くのお店に行くときも、車ではチャイルドシートに乗せてほしい。取り付け方が分からなければ、出かける前に一緒に確認させてね」

離れて暮らす家族には、早めに具体的に

遠方の家族に来てもらう場合は、移動や宿泊の負担もかかります。日程、来てほしい期間、その間にお願いしたいことを早めに伝え、相手の体調や都合を優先して決めましょう。

直接来てもらえなくても、電話やビデオ通話で子どもの様子を見てもらう、話を聞いてもらうなど、離れていてもできる関わり方もあります。

同居の家族とは、線引きを話しておく

同居していると、頼んでいないのに手を出される、逆に頼みにくい、といった悩みも起こりがちです。「平日の夕方はお願いしたい」「寝かしつけは自分たちでする」など、お願いしたいことと、自分たちでしたいことの両方を伝えておきましょう。

家族だけで手が足りないときは

どれだけ分担を工夫しても、家族の予定が合わない、頼れる家族が近くにいない、二人とも疲れ切っている、ということはあります。家族の中だけで何とかしようとせず、外の手も頼る先に加えましょう。

市区町村には、地域で子育ての援助を受けたい人と行いたい人が会員になって助け合うファミリー・サポート・センターや、一時預かりなど、家族以外の手を借りる仕組みがあります。内容や料金、手続きは自治体によって違うので、お住まいの地域の案内で確認してください。

だっこのわでは、親がその場にいる短時間の抱っこや育児のお手伝いを、地域の人にお願いできる仕組みを準備しています。登録・掲載・相談は無料の予定で、いまは公開準備中のため、実際の依頼にはまだ使えません。

あわせて読みたいファミリー・サポート・センターとは|頼めること・料金・登録から利用までの流れ あわせて読みたい一時預かりとは|対象・種類・料金と、保育園に通っていない子の預け先の探し方 あわせて読みたい子育てで頼れる人がいないとき|困りごと別の公的な相談先と支援の使い方

よくある質問

パートナーに頼んでも「やり方が分からない」と言われます。

最初の一回は一緒にやってみて、手順や使うものの場所を見せるのがおすすめです。そのうえで、細かいやり方は相手に任せ、安全に関わることだけを理由と一緒に伝えましょう。手順を共有メモに書いておくと、次から聞かれる回数も減らせます。

頼むと不機嫌になるので、言い出しにくいです。

疲れているときや急いでいるときを避け、落ち着いた時間に、作業と時間を区切って頼んでみてください。「責められている」と感じると身構えやすいので、分担表などを見ながら中身の相談として話すのもひとつの方法です。怖さを感じる状況が続く場合は、市区町村の相談窓口に相談してください。

分担はきっちり半分にするべきですか?

働き方や体調、得意なことは家庭ごとに違うので、決まった正解はありません。大切なのは、二人ともいまの分担に納得していて、片方だけが限界になっていないことです。定期的に見直す日を決めて、その時々の状況に合わせて調整しましょう。

祖父母のやり方が自分と違って気になります。

安全に関わることと、好みの違いを分けて考えましょう。好みの違いは相手に任せ、アレルギーや寝かせ方など安全に関わることは、かかりつけ医などに言われていることとして理由と一緒に伝えると、受け入れてもらいやすくなります。

産後パパ育休は、いつまでに申し出ればいいですか?

厚生労働省の案内では、原則として休業開始予定日の2週間前までに、書面などで勤め先に申し出るとされています。労使協定がある場合は最大1か月前までとなることもあります。対象になる条件と合わせて、勤め先や厚生労働省のサイトで確認してください。

まとめ

  • 家族へのお願いは、察してもらうのを待たず「何を・いつ・どこまで」を言葉にする
  • 家事と育児の作業を頻度ごとに書き出し、分担表で見えにくい作業まで共有する
  • 分担は小さく決めて試し、子どもの成長や働き方に合わせて定期的に見直す
  • やり方の違いは安全に関わるかどうかで分け、守ってほしいことは理由と一緒に伝える
  • 家族だけで足りないときは、地域の子育て支援など外の手も頼る先に加える
Related

子育ての「少し助けて」を、
あなたのスマホに。

だっこのわは、抱っこや育児を手伝ってほしい親と、手伝いたい地域の人をつなぐアプリです。

だっこのわについて見る アプリは公開準備中です。現在は実際の依頼には利用できません。