子育ての助け合い

ファミリー・サポート・センターとは|頼めること・料金・登録から利用までの流れ

保育園のお迎えに仕事が間に合わない、上の子の学校行事の間だけ下の子を見ていてほしい。家族や知り合いに頼みにくい場面で、選択肢のひとつになるのが、市区町村が実施する「ファミリー・サポート・センター」(ファミサポ)です。この記事では、こども家庭庁の資料をもとに、しくみ、頼める内容の例、報酬の決まり方、安全のための取り組み、登録から利用までの流れと、使う前に確かめておきたいことを整理します。

制作:株式会社Akatsuki 読了 約10分 公開

ファミリー・サポート・センターのしくみ

ファミリー・サポート・センター事業は、正式には「子育て援助活動支援事業」といいます。こども家庭庁の実施要綱では、乳幼児や小学生などの子どもがいる子育て中の人を会員として、子どもの預かりの援助を受けたい人と、援助を行いたい人との助け合いの活動について、連絡や調整を行う事業とされています。

実施主体は市町村(特別区を含む)で、市町村が適切と認めた団体に運営を委託することもできます。こども家庭庁の概要資料によると、令和6年度は1,009市町村で実施されています。

3つの立場と役割

会員には、預ける側の「依頼会員」と、預かる側の「提供会員」がいます。両方を兼ねる「両方会員」もあります。センターには、会員どうしの調整を行う「アドバイザー」が置かれます。

ファミリー・サポート・センターにかかわる人
立場どんな人か主な役割
依頼会員 子どもの預かりなどの援助を受けたい人 センターに援助を申し込み、提供会員と内容を確認して利用する
提供会員 援助を行いたい地域の人 センターの講習を受け、打診を受けた援助を行う
両方会員 依頼会員と提供会員の両方に登録している人 援助を受けることも、行うこともある
アドバイザー センターで調整の事務を行う人 依頼を受けて提供会員を探し、会員どうしをつなぐ

概要資料では、会員数は依頼会員が約60万人、提供会員が約14万人、両方会員が約4万人と示されています。預ける側に比べて、預かる側の人数が少ないことが分かります。

契約は会員どうしで結ぶ

実施要綱では、会員間の活動は、依頼会員と提供会員との「請負または準委任契約」に基づくとされています。センターは会員どうしをつなぎ、連絡や調整を行う立場で、保育所のように施設が子どもを預かるしくみとは違います。

そのため、当日の内容や注意点は、依頼会員が提供会員に直接、具体的に伝えることが大切になります。

ファミサポで頼めることの例

実施要綱では、活動の内容として次のような子どもの預かりが挙げられています。実際に頼める内容や時間帯は地域の会則によって違うため、お住まいのセンターで確認してください。

  • 保育施設の保育が始まる前や、終わった後の子どもの預かり
  • 保育施設などまでの送迎
  • 放課後児童クラブが終わった後の子どもの預かり
  • 学校の放課後の子どもの預かり
  • 冠婚葬祭や、ほかの子どもの学校行事のときの子どもの預かり
  • 買い物などで外出するときの子どもの預かり

どこで、何人まで預かるのか

実施要綱では、預かる場所は会員の自宅、児童館、地域子育て支援拠点など子どもの安全が確保できる場所とし、会員間の合意で決めるとされています。

一度に預かる子どもの人数は、提供会員1人につき原則1人です。きょうだいを一緒に頼みたいときは、受けてもらえるかをセンターに相談しましょう。

病気のときや早朝・夜間は地域によって違う

国の事業には、病児・病後児の預かり、早朝・夜間などの緊急時の預かり、宿泊を伴う預かりに対応する「病児・緊急対応強化事業」もあります。ただし、すべてのセンターが実施しているわけではありません。

また、ひとり親家庭や、育児と介護が重なっている家庭、障害のある子や多胎児がいる家庭などへの利用支援を行う地域もあります。対象になりそうな場合は、登録のときに相談してみてください。

子どもの体調が悪いときに預けてよいかどうかは、自己判断せず、かかりつけの医師やセンターに相談してください。子どもの急な症状で迷ったときは #8000、緊急のときは119番へ。

料金(報酬)の決まり方と、確認しておきたいこと

ファミサポの料金は、正確には提供会員への「報酬」です。実施要綱では、報酬は原則として会員間で決めるものとし、制度の趣旨や地域の実情を反映した目安を、会則などで定めることができるとされています。

このため、1時間あたりの金額、早朝・夜間や土日の扱い、送迎の交通費、食事代などは地域によって異なります。金額はお住まいのセンターの案内で確認してください。

登録前に確認したい項目

  • 1時間あたりの報酬の目安と、時間の数え方(30分単位など)
  • 早朝・夜間・土日祝日の扱い
  • 送迎時の交通費や、食事・おやつ代の負担
  • キャンセルするときの連絡期限と、費用がかかるか
  • 報酬の支払い方(当日手渡しかどうかなど)
  • 利用できる子どもの年齢と、利用できる時間帯
  • ひとり親家庭などへの利用支援があるか

ひとり親家庭などへの利用支援

実施要綱では、ひとり親家庭、生活保護世帯や市町村民税非課税世帯、育児と介護が重なっている世帯、障害のある子や多胎児がいる家庭などの利用を支える取り組みも、国の補助の対象として示されています。

取り組みの例は、提供会員を優先して調整する、早朝・夜間・休日などにも柔軟に対応する、利用にかかる費用を助成する、外出が難しい家庭のために事前の顔合わせを自宅で行う、などです。実施しているかどうかや内容は地域によって異なるため、センターに問い合わせてください。

安全のための取り組み

子どもを預かる活動なので、国の実施要綱ではいくつかの取り組みが定められています。利用する側も内容を知っておくと、顔合わせのときに何を確かめればよいかが分かります。

国の実施要綱で定められている主な取り組み

  • 活動中の子どもの事故に備えた補償保険への加入
  • 提供会員全員への、AEDの使い方や心肺蘇生の実習を含む緊急救命講習と、事故防止に関する講習、虐待防止などに関する講習の実施
  • 少なくとも5年に1回の、これらの講習のフォローアップ
  • チェックリストを使った、預かり場所の定期的な安全点検
  • 事故が起きたときの、円滑な解決に向けた会員間の連絡など
  • 提供会員の登録時に、過去に虐待や不適切な行為がないかをできる限り確認すること

実施要綱には、提供会員向けの講習の参考カリキュラム(保育の心、子どもの発達、病気、安全・事故、遊び、栄養など合計24時間)も示されています。実際の講習の内容や時間はセンターによって異なります。

利用する側ができること

しくみがあっても、子どものことを一番よく知っているのは保護者です。アレルギー、持病、苦手なこと、寝かせ方、連絡がつく電話番号など、預けるうえで大切な情報は、口頭だけでなくメモにして渡すと伝え漏れを防げます。

保険でどこまで補償されるかは、センターの案内で確認しておきましょう。

登録から利用までの流れ

細かな手順は地域によって違いますが、おおむね次のような流れです。必要になってから登録すると間に合わないことがあるため、使うかもしれないと思った時点で動き始めるのがおすすめです。

  1. お住まいの市区町村のホームページで「ファミリー・サポート・センター」を探し、案内や会則を読む
  2. センターに連絡し、依頼会員として登録する(説明会や面談、必要書類は地域によって異なる)
  3. 頼みたい内容、日時、場所を決めて、センターに援助を申し込む
  4. アドバイザーが提供会員を探し、援助を打診する
  5. 依頼会員と提供会員が事前に顔合わせをして、内容や注意点を打ち合わせる
  6. 当日、打ち合わせた内容で援助を受け、決められた方法で報酬を支払う
  7. 気になったことや困ったことがあれば、センターに相談する

顔合わせで伝えること・確かめること

顔合わせは、提供会員に子どものことを知ってもらい、お互いに安心して当日を迎えるための時間です。遠慮せずに具体的に話しましょう。

  • 子どもの名前の呼び方、年齢、性格、好きな遊び
  • アレルギー、持病、飲んでいる薬の有無
  • 食事やおやつ、お昼寝、トイレやおむつのこと
  • 送迎の場合は、経路、受け渡しの相手と方法
  • 当日の連絡先と、連絡がつかないときの予備の連絡先
  • 緊急時の対応と、かかりつけの医療機関

センターへの伝え方の例

援助を申し込むときの例

「依頼会員の○○です。来月から毎週水曜日、保育園のお迎えをお願いできる方を探しています。」

「時間は17時から18時30分ごろまでで、お迎えのあとは自宅まで送っていただきたいです。」

「子どもは2歳で、食物アレルギーはありません。顔合わせは平日の夕方なら調整できます。」

あわせて読みたい育児を手伝ってほしいとき|頼む相手の選び方とお願いを整理する7項目

当日の受け渡しで確かめること

迎えに行ったときや子どもを受け取るときは、その日の様子を短く聞いておくと、次回の打ち合わせにも役立ちます。食べたもの、眠った時間、けがや気になった様子がなかったかなどです。

予定より長くかかった、内容が変わったといったことがあれば、その場で提供会員と確認し、必要に応じてセンターにも伝えましょう。

ほかの預け先との使い分けと、だっこのわについて

ファミサポは、送迎や保育施設の前後など、決まった時間の「すき間」を地域の人に助けてもらうのに向いたしくみです。一方で、提供会員の数には限りがあり、依頼の内容や時間帯によっては調整がつかないこともあります。

保育所などで子どもを預かる「一時預かり事業」や、市区町村の子育て窓口への相談もあわせて知っておくと、いざというときの選択肢が広がります。

あわせて読みたい一時預かりとは|対象・種類・料金と、保育園に通っていない子の預け先の探し方 あわせて読みたい子育てで頼れる人がいないとき|困りごと別の公的な相談先と支援の使い方

提供会員として関わりたい人へ

子育てが一段落した人や、地域の子育てを手伝いたい人は、提供会員として登録する道もあります。講習の受講が必要になるため、お住まいのセンターの募集案内を確認してください。

あわせて読みたい子どもに関わるボランティアの探し方|地域の窓口、問い合わせ方、活動先の選び方

だっこのわとの違い

だっこのわは、抱っこや育児を手伝ってほしい親と、手伝いたい地域の人をつなぐアプリとして公開準備中です。まずは親がその場にいる短時間のお手伝いを中心に準備しており、ファミリー・サポート・センターのような公的な制度の代わりになるものではありません。子どもを預ける必要があるときは、ファミサポや一時預かりなどの公的なしくみを優先して検討してください。

よくある質問

ファミサポは誰でも利用できますか?

国の実施要綱では、乳幼児や小学生などの子どもがいる子育て中の人を会員とするしくみとされています。利用できる子どもの年齢や、住んでいる地域・勤め先などの条件は、センターごとの会則で決まっています。お住まいの市区町村のセンターで確認してください。

ファミサポの料金はいくらですか?

報酬は原則として会員間で決めるもので、目安を会則などで定めている地域があります。金額や、早朝・夜間の扱い、交通費などは地域によって異なるため、センターの案内で確認してください。

登録したらすぐに利用できますか?

登録の手続きや、提供会員を探す調整、事前の顔合わせが必要なため、すぐに利用できるとは限りません。使う可能性があるなら、早めに登録と顔合わせを済ませておくと安心です。

子どもが病気のときも預けられますか?

国の事業には病児・病後児の預かりに対応する「病児・緊急対応強化事業」がありますが、実施していない地域もあります。体調が悪いときの対応は、センターとかかりつけの医師に相談してください。

ファミサポと一時預かりはどう違いますか?

ファミサポは会員どうしの助け合いで、提供会員の自宅や児童館などで預かったり、送迎をしたりします。一時預かりは、保育所や幼稚園、認定こども園などで乳幼児を一時的に預かる事業です。目的や場面に合わせて使い分けを考えましょう。

提供会員に不安を感じたらどうすればいいですか?

無理に続けず、センターのアドバイザーに相談してください。気になった点を具体的に伝えると、調整してもらいやすくなります。子どもの安全にかかわる緊急のときは、119番や110番にすぐ連絡してください。

まとめ

  • ファミサポは、依頼会員と提供会員が助け合い、センターのアドバイザーが調整する市区町村の事業
  • 送迎や保育施設の前後、放課後、冠婚葬祭、買い物のときの預かりなどが国の資料に例示されている
  • 報酬や利用条件は地域の会則で決まるため、登録前に案内を読み、分からない点はセンターに聞く
  • 補償保険への加入や提供会員への講習などの取り組みがあるが、子どもの情報は保護者から具体的に伝える
  • 急に必要になってからでは間に合わないことがあるので、登録と顔合わせは早めに
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